言葉はなくとも、心が共鳴していきました

40代女性

囚われが外れたら、素直な気持ちを表現できたという内容です。

私は訪問介護の仕事をしています。
障害をもつあるお子さんの通院介護という役割を長年務めています。

私はあるお子さんと5才の時に出会って、今12才になりましたが、
その子の気持ちを理解してあげたいがなかなかわからない、という状態が続いていました。

その子は生まれつき呼吸ができない、体を自分の意志でまったく動かすことが出来ない、
目を見ても、一切瞳が動かない、笑顔で話しかけても一方通行のような状態です。

私の中にずーっと悲しい気持ちがあるというか、
その子との時間が終わるとどっと疲れるという感じでした。

ワークを知って、人は根底において良心でつながることができるということを聞き、
その子との関係に希望に感じるようになりました。
数年間、その子の良心に、「生まれてきてくれてありがとう」と投げかけ続けました。

2月の最後の火曜日、そのお仕事が入りました。
普段は午後からなのですが、その日は朝から晩まで来てくださいと言われて、
大丈夫かな…と思いましたが、お母さんが私を頼って下さるのだなと思って行きました。

気がつけば、その日はすごく自分がリラックスしていることに気付きました。
その子もとても落ち着いているな、という感覚を受けました。

いくつかの病院を回って、あとは耳鼻科に行って終わりというときに、
お母さんが「どうしてかしら、今日はこの子のバイタルがとても安定しているわ!」とおっしゃいました。
朝からずっと拘束しているのに、いろいろな身体のバロメーターの数値が安定しているというのです。

最後、お別れが近づくにつれて、その子のことがとても愛おしい! という気持ちが止まらなくなりました。
その思いを伝えたい! という気持ちになり、家に上がって機器を整えてお別れの時に、

「今日一日、頑張ったね、大好きだよ!」と素直にその気持を伝えることが出来ました。

なぜか心の底から涙があふれてきました。
5月にまた会おうね! と言ったら、その子の喉がきゅっとなったんですね。
はじめてのことで、お母さんと顔を見合わせながら、この子が返事をしたのかも知れない…
という会話をしました。疲れをまったく感じない、不思議な一日でした。

目に見えない心と心で人はつながっているということを実感しましたし、
このような喜びを多くの人々との間で結んでいきたい気持ちになりました。

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